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ゆるやかな登りをゆっくり走る。背後には伊豆大島
| 子どものころから山登りはよくしていたという磯部さんも、トレイルランはこの日がはじめて。そんな彼女のために、石川さんは伊豆半島の細野高原をフィールドとして選んだ。 箱根ターンパイク、伊豆スカイラインという日本離れした雄大な景色のなかを、ふたりが乗る「フォレスター」が走っていく。後ろには雪をかぶった白い富士。正面にはどこまでも穏やかな青い相模湾。ハンドルを握るのは、みずから運転を志願した磯部さんだ。 「私、運転するの好きなんです」 と言うとおり、グングン山道を登っていく。ダートの道もなんのそのだ。都心からの約4時間があっという間に感じられるほど、スムーズに細野高原に到着した。 「おつかれさま!」 開口一番、石川さんは磯部さんの疲れを気づかう。しかし、彼女からロングドライブのくたびれたようすはほとんど感じられない。 「すごくラクチンでしたよ。登り坂もカーブも運転しやすかった。 石川さんも助手席から広い視界をぞんぶんに楽しんだようだ。 ふたりは広いカーゴルームからバックパックやシューズを取り出し、さっそく準備にとりかかる。 「急に走ると筋肉を痛めるからね」 と、石川さんはストレッチの指導を開始。走るときは腕も振るので上半身も伸ばしておく。磯部さんはいよいよ始まるトレイルランに少し不安そうだ。 「走らなきゃ、と思わなくていいんですよ。登りは歩いたっていい。走りたいと思ったときに走ればいいんです。 「そうなんですね。気持ちが軽くなりました!」 石川さんのタイミングのよいアドバイスをきっかけに、磯部さんの顔もすっかり明るくなった。 細野高原は標高800メートル足らずの丘陵だが、いちめんに草原が広がり、高原の名に恥じない高度感がある。海を向けば伊豆大島がポッカリ浮かび、山に向けば天城連山がどっしり横たわっている そんな景色のなかを、「ゴー!」という石川さんの合図とともに、ふたりは元気よく走り出していく。 「気持ちいい! 雲に手が届きそう!」 磯部さんの楽しそうな声が聞こえてきた。磯部さん、登りもちゃんと走っている!
ふたりの休日は、まだ始まったばかりだ。 |
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