2008年9月25日 投稿者: ミヤザキ

東京のど真ん中、外資系の金融関連企業で働くビジネス戦士だ
9月15日、OSJトレイルシリーズの最終第5戦となる「OSJクロスマウンテンマラソン・イン・王滝」が開催された。第4戦まで総合ポイント争いのトップに立っていた渡辺千春さんが3位に入り、出場ポイント(3点)と合わせて17ポイントを獲得。合計獲得ポイント69点で、男子総合優勝を果たした。OSJトレイルシリーズ5戦すべてに出場し、コンスタントにポイントを重ねたことが、総合優勝につながった。
アドスポWebでは、多忙な渡辺さんを昼休みにキャッチし、ランチインタビューを敢行した(インタビュー=9月19日)
写真・文=宮崎英樹(ASM編集部)
ASM 「OSJクロスマウンテンマラソン・イン・王滝」は、鏑木毅さんが急遽参戦して優勝したことで、最終的な総合ポイントはわずか4点差でしたね。
渡辺 鏑木君は3戦しか出てませんが、僕は5戦とも出てますからね(笑)。
ASM 渡辺さんはどんな仕事をされているんですか?
渡辺 今は、ある外資系の金融機関でリスクマネージメントの仕事をしています。1年半ほど前、今の会社に移りました。それまでは、大手都銀や、今いろいろと世間を騒がせている外資系証券会社にきわめて近いところにもいたんですよ。
ASM 最近、仕事がお忙しいようですね。
渡辺 そうですね、担当するプロジェクトが進行している間は、平日はずっと会社にいるような状態で、家には着替えに戻るだけのようなときもあります。
ASM それじゃあトレーニングの時間も取れませんよね?
渡辺 そのとおりです。最近、平日はまったく練習していなくて、できるのはストレッチくらいです。週末にレースに出たり、仲間や息子の太良(たら)と山に入るのが練習みたいなものですね。
ASM お仲間というと?
渡辺 市岡隆興君、柳下大君、円井基文君と私の4人(自称Aチーム)で月に一度くらいロングトレイルの練習をしていました。市岡君のスリランカ赴任、円井君の金沢赴任で今は活動を休止しています。柳下君とは今でも誘い合ってトレイルに行っています。
ASM 太良君はまだ小学5年生ですよね?
渡辺 太良はトレイルランが大好きで、けっこう走りますよ。小3のときに富士山に登ったんですが、高山病にもならなかったし、高度には強いと思います。日本百名山は20山くらい登っていて、去年は斑尾トレイルレースにも出場しました(編集部注:渡辺さん自身は50㎞の部で総合優勝)。今年の夏は南アルプスの鳳凰三山や、北アルプスでは上高地→岳沢→奥穂高岳→北穂高岳→大キレット→槍ヶ岳→槍沢→上高地と回ってきましたよ。さすがに大キレットなどの岩場は走りませんでしたが。それと、アドスポのガイド記事の取材を兼ねて、私の故郷の安達太良山も走ってきました。
ASM あっ、だから"太良"君なんですね。
それでは、仕事が特別に忙しくない時期の平日にはどんなトレーニングをしていますか?
渡辺 朝、10kmくらい走っています。自宅は吉祥寺にあって、井の頭公園まで走って10分くらいなんですが、公園内の20段くらいの階段を100往復するのがいつものトレーニングですね。私は「お百度参り」って呼んでいます(笑)。
ASM 超高層ビルの階段でトレーニングする話は聞きますけど、たった20段の階段でトレーニングになるんですか?
渡辺 1段が25cmくらいあって、けっこうきついんですよ。上りより下りを意識して、下りのほうが心拍数が上がるように駆け下っています。それに、ビルの階段は同じ向きにグルグル回っているうちに目も回るでしょ?
ASM ところで渡辺さんが走り出したきっかけは何だったんですか?
渡辺 大学時代はアメリカンフットボール部にいましたが、就職してからまったく運動をしなくなったんです。99年、香港駐在時に、これではいかんということで、低山ハイキングと軽いランニングを始めました。香港にはけっこう長いトレイルがあって、50kmくらいは歩けるし、中国の九龍方面まで行けば100kmくらいはつなげられます。ただ、その頃はトレイルランというものはぜんぜん知りませんでした。
日本に帰国後もランニングを続け、フルマラソンのタイムは3時間を切るくらいになっていました。
2003年、たまたま「北丹沢12時間耐久レース」のことを知って、エントリーしました。トレイルランに関する知識はまったくなくて、ランシューで出ました。土砂降りの悪コンディションもあって第2関門でリタイヤしたんですが、スタート地点へ戻るバスの中でいろんな人と話をして、トレイルランの装備とか技術とか、さまざまなことを聞けました。
また、このレースのあとに、市岡と知り合って、それからいっしょに練習を始めたのが大きかったですね。市岡はトライアスロンからトレイルランに入ってきた人ですが、すごくフォームがきれいなんです。力が抜けているというか。僕は市岡のフォームを盗んだんです。
その甲斐あって、翌04年に北丹沢を完走することができました。ここからですね、トレイルレースにはまり込んだのは。
ASM そのフォームの点で、トレイルランナーに何かアドバイスはありますか?
渡辺 トレイルランは不整地を走るので、何よりバランス感覚が大事です。足の裏がどうなっているか、どういうふうに地面と接しているのかという足裏の感覚が重要ですね。僕の場合は左足に疲労がたまりやすいんですが、まだ力が入りすぎている部分があるんだと思います。
また、下りの衝撃を吸収する方法ですが、僕は衝撃を上半身で吸収するようにしています。着地するとき、肩を下げるというか、実際には腕を下げるんですね。肘は曲げずにダランと伸ばしています。
ASM 今年のハセツネの目標は?
渡辺 自己ベストは06年の8時間32分です。これが時速8.5kmです。時速9kmだと8時間を多少切ります。06年の時に比べて1時間毎に500m先にいることを8時間弱続ければ、8時間を切ります。これはできない目標ではないと思います。
今後の目標としては、10年連続9時間切りと、太良と同時に9時間切り、このふたつですね。太良はいま小学5年生。ハセツネの出場資格は高校生以上ですから、あと5年で出場できます。
それと、優勝を宣言するような若いヤツがたくさん出てきて、レース展開が楽しみですね。僕の予想では本命は鏑木君じゃないかと思いますけど、相馬君も練習内容が半端じゃないし、上位に来るでしょうね。奥宮さんなどの自衛隊の選手も怖いし、望月(将悟)も爆発力があるし。韓国の選手(沁在徳選手)も出るらしいし。
ASM では最後に、渡辺さんは現在41歳ですが、年齢の壁を感じますか?
渡辺 50歳を超えても、ムダをなくしていけば、今のタイムはキープできると思っています。そのためには、フルマラソンで2時間40分の力は維持していたいですね。
ASM 今日はお忙しいところありがとうございました。午後もお仕事がんばってください!