天気はわるいが気合は充分。本栖湖から西湖へのトレイルランに出発!
またまた行ってまいりました、トレイルランニング講習会。
完全に「講習会オタク」と化していますね。
今回は、トレイルランの普及活動に早くから取り組んでいる、あの石川弘樹さんが講師のイベント。
石川さんのイベントは、パワースポーツ主催の「パタゴニア ハッピートレイル」や、アートスポーツ主催のものなどがありますが、いずれも競争率が高く、参加したくても「既に募集終了!」というのが実情です。
しかも今回は1泊2日の合宿スタイル。富士五湖周辺の自然のなか、石川さんのコーチのもとでトレイルラン三昧の2日間を過ごせるのは、これは楽しみ。
いやでも期待が高まるというものです。
スタート前、参加者にレクチャーする石川弘樹さん
主催=アートスポーツ
【アートスポーツのウェブサイト】
取材・文=宮崎英樹(ASM編集部)
写真=西田省三
●6月21日(土)
12時、西湖の東側にある「西の海キャンプ場」に集合。
部屋に荷物を置き、着替えをすませたあと、ガイダンスが始まりました。
アートスポーツの松井さんからのあいさつに続き、いよいよ石川弘樹さんの登場です。
「今日、みなさんに走っていただくのは、富士山麓の樹海です。今朝も試走してきましたが、下がやわらかくて走りやすいコースですよ」
続いて、トレイルランの前の準備や装備について話がありました。
■シューズの履き方
シューズを履く前に、靴下をしっかりと履こう。
靴下は、ケガ防止のため、あまり短いものではなく、くるぶしが隠れるものを。
シューズは、足を入れたら踵をしっかり合わせる。
ベロもしっかり引っ張って所定の位置へ。
靴ひもはしっかり結び、余ったひもはシューレースの間に挟む。
こうすることで、ほどけたり、ひもを枝に引っ掛けたりのトラブルを防げる。
また、結び直したり、転倒の危険を防ぐことで、ストレスも減る。
このように、シューズをしっかり履くことで、シューズの中で足がずれることで起こるトラブル、例えば靴擦れや、つま先や爪のトラブルを防げる。
ただ実際には、前後のズレはどうしても起こってしまうので、シューズのサイズ選びは、僕の考えでは、ずれてもつま先があたらないように、1~1.5cmほど大きなものを選ぶのがいい。
■タイツ
ショートパンツだけよりは、ササなどのヤブで切り傷や擦り傷を作ったり、転倒時のケガを防ぐためにも履いたほうがよい。
■シェル(ジャケット)
すでにジャストサイズのものを持っていて、これから2枚目を買うなら、ワンサイズ大きなものがおすすめ。
着用した状態でスタートし、走るとすぐ暑くなるが、シェルを着た上にパックを背負っていると、脱ぎたくても脱げない。
こういうとき、パックの上からシェルをはおれば、いちいちパックを下ろす手間をかけずに脱いだり着たりできる。雨が降ったりやんだりの微妙な天候時にも有効。
つまり、背負ったパックの上から着ることができるワンサイズ大きなものがおすすめ、というわけ。
■ハイドレーション
水を入れた後、必ず中の空気を抜くこと。空気が入ったままだと、中の液体が動いてシャカシャカと音がしてうるさいし、重心も動いてしまう。空気の抜き方は、ホースの付け根側を上にして、口でホースから空気を吸う。
■パック
コンプレッション機能がついていれば、しっかり締める。荷物の揺れを防ぎ、走りやすくなる。
背負う位置は、背中の高い位置にフィットするように調整する。低い位置にあると揺れてしまう。
ショルダーハーネスとチェストハーネスもしっかり締める。
こうすることで、走り方がぜんぜん違ってくる。
なお、これからハイドレーションパックを買うなら、必ずウエスト部分にポケットがあるものを選ぼう。
ひと通りの説明があったあと、車に分乗して本栖湖まで移動です。
道路を車で走ってみると、両側は富士山麓の深い樹林になっていて、しかもけっこう下っていきます。
西湖までランニングで戻ってくるからには、「下った分、登り返すんだよな?」と、ちょっと不安になってしまいます。
本栖湖の東岸にある「本栖湖レストハウス」で車を降りました。
スタート前に、ここでストレッチ。
新しく教わったのは、膝の上につながる太ももを伸ばすストレッチ。
膝裏に指をはさんでしゃがみこむことで、よりストレッチ効果が強くなるそうです。
また、トレイルランナーに多い故障に、腸脛靭帯炎が挙げられます。
腸脛靭帯は膝の外側のとがった骨に付着している靭帯で、膝が外側に開いてくると、腸脛靭帯に負担が集中して痛めてしまう。膝を進む方向に向けて、まっすぐ走ろう。O脚の人はさらに意識して。
ということで、太ももの外側の筋肉も充分伸ばします。
本栖湖レストハウス駐車場でストレッチ。足をクロスさせて前屈。
太ももの外側を伸ばす
スントの心拍計つきウォッチのモニター企画もあった
さて、いよいよトレイルランのスタートです。
国道139号とほぼ並行するトレイル「東海自然歩道」を走って、富岳風穴を経て西湖まで。
全長15kmくらいでしょうか。
先頭を石川さんが走り、それについて走ります。
どんよりした曇りで、深い深い樹林の中はかなり暗い状態です。
森の中を、ウネウネとトレイルが続いています。
ほぼ平坦なので、思わずスピードが上がってしまいます。
富士山の樹海を走る。鬱蒼とした森は、
多少の雨なら降りこまない
起伏の少ないコースだが、ちょっとした下りで
下り方をレクチャー
途中まではまったく人がいなかったのですが、富岳風穴、鳴沢風穴が近づくと、観光客の姿が多くなってきました。
石川さんは言います。
「すれ違う場合は、向こうもこちらの存在に早く気づいてくれるのであまり問題はありません。
しかし追い越す場合は、近づいてから声をかけると、相手を驚かせてしまうことになります。
かなり手前から、咳払いをしたりして自分の存在に早く気づいてもらうようにしましょう。
もちろん、トレイルで追い越す際は、走らないで歩いて、あいさつもしっかりしましょう」
富岳風穴の駐車場でいったん車道に出て、西湖に向かって舗装道路を走ります。
樹海から出ると、意外にちゃんと雨が降っているのにびっくりしました。
富岳風穴から約1.5kmはロードラン。
このくらいの雨がランニングにはちょうどいい
西湖畔の砂浜で行なう予定だったヨガは、雨のため、急遽、公民館で開催になりました。
ぬれた体を拭いてから、ヨガマットが並ぶ会場に入ります。
先生は、パタゴニアの元社員で、現在は鎌倉でヨガ教室を開いている馬場久美子さんです。
参加者の多くは今回がヨガ初体験のようです。そういう私も初めてでした。
実際にやってみると、つねに呼吸を続けること、地面や天とのつながりを意識すること、など以外は、ストレッチとあまり変わらないと感じました。
目的意識をはっきり持って体の各部を伸ばすことで、頭がすっきりし、覚醒度が上がったような気がしました。
馬場先生の声と動きに合わせて、体をほぐしていく
やや上級?な動きも教わった。肩をグッと入れて
「西湖温泉いずみの湯」に入ったあと、西の海キャンプ場へ戻って夕食です。
同じトレイルラン仲間ということで、会話が始まります。
食後は、スントの活用法などを、石川さんが映像を見せながら解説してくれました。
宿舎で夕食兼懇親会のスタート
食後、特別企画として、石川さんが今年5月に出場した「エベレストマラソン」について、スライドを見せながら話してくれました。
世界最高峰のエベレスト(8848m)登頂を狙う登山家が集まるエベレストベースキャンプ(標高5300m)から、フルマラソンと同じ42kmを駆け下る、世界最高所のマラソンです。その区間には車道などなく、もちろん全部がトレイル(生活用の歩道)です。
日本ではありえない、すごい風景の写真の連続に、参加者からは驚きの声が上がりました。
※8月末発売の『アドベンチャースポーツマガジン』に、石川弘樹さんの写真と文による「エベレストマラソン挑戦記」を掲載します。ぜひご覧ください。
そして三々五々、就寝です。
●6月22日(日)
早朝、雨は降っていませんでした。
みんな5時過ぎには起き出し、走る準備に余念がありません。
早朝6時から、西湖1周約10kmのジョギングへ。ほとんどの参加者がスタートした
けっこう全力で走る人、マイペースで走る人、それぞれのペースで西湖を一周します。
走り終えたら、早朝ヨガです。この頃から雨がかなり強くなり、屋根のある広いスペースで、雨音をBGMに、昨日とは違う動きを教わりました。
朝食後、車に分乗して、石割山登山口の二十曲峠へ。
雨はいっそう強くなり、本降りです。
やわなウインドブレーカーではすぐに浸水してしまうくらいの雨量です。
それでも、今日のコースは短く、短時間で下山できるためか、ためらいもなくスタートします。
石割山まではひと登りで到着。
「ほんとうはここに富士山がドーンと見えるんですけどね」と、石川さんは申し訳なさそうです。
雨脚が強まる石割山。足下もぬかるんできた。
下りはいつも以上に慎重に
山中湖の北側を東西に伸びる尾根を、平尾山、大平山、飯森山と下っていきます。
防水性の低いウェアを着てきた人には、かなり寒い時間だったのではないでしょうか。
この雨ではしっかりしたレインウェアが有効でしょう。
参加者の一人が両足の腸脛靭帯を痛め、歩いて下った以外は大きなトラブルもなく終了。
再び車で西の海キャンプ場まで戻ります。
レインウェアのおかげで上半身はぬれずに
すんだが、下半身はずぶぬれ!
トレイルシューズは強い。雨でもしっかりグリップしてくれる
シャワーや着替えをすませてから、遅い昼食です。
キャンプ場の主人が打ってくれたそばをいただきました。
最後に、石川さんから「みなさんが感じたトレイルランのおもしろさを、ぜひ、みなさんの周りの人に伝えてください」との言葉をいただきました。
今回は天候が悪く、コンディションはよくなかったけれど、それでもトレイルランは楽しい!
そう再認識させてくれた2日間でした。
ソフトでていねいな語り口で、参加者をひきつけた石川弘樹さん
Kamakura YOGA Societyを主宰する馬場久美子さん
【鎌倉ヨーガソサエティ】
アートスポーツ主催の「石川弘樹トレイルラン講習会」のスケジュールは、アートスポーツのウェブサイトに掲載されます。早いときは数時間で定員に達する狭き門なので、とにかくウェブサイトをこまめにチェックしよう!
【アートスポーツのウェブサイト】