掲載日:2008年04月16日
[ レーサーズ・レポート ]
「OSJ新城トレイルレース2008」
32km女子総合2位
小川比登美のレースレポート
3月23日、愛知・県民の森及びその周辺で開催された「OSJ新城トレイルレース2008」の32km部門に出場。あと一歩で優勝を逃した小川比登美選手によるレポートです。

小川比登美(おがわひとみ)
34歳。神奈川県在住。走り始めたのは30歳になってから。それまでは、料理教室やパン教室などに通う日々。スポーツジムのインストラクタ-の勧めで走り始め、半年後、初めて出た大会はマラソンではなくトレイルのレ-ス。山を走ることがどんなことかもわからないままにエントリ-し、結果は2位。1カ月後に出た初フルマラソンは3時間14分。その後、石川弘樹さんのセミナ-でトレイルランのノウハウを学び、数々のトレイルレ-スに出場するようになる。
●主なトレイルレース実績
北丹沢12時間山岳耐久レ-ス 05・06年2位、07年3位
日本山岳耐久レ-ス(ハセツネ) 05年6位、06年9位、07年5位
OSJハコネ50kエンデュランスラン(07年) 4位
マラソンでの主な実績は、07年の第1回湘南国際マラソン一般の部で優勝(3時間3分16秒)。今年の名古屋国際女子マラソンでは自己ベストの2時間59分29秒を記録。
新城トレイルレースを走ろうと決めたのは、3月に入って申し込み締切になるぎりぎりのタイミングでした。
去年11月に足を故障し、年内はまったく走ることができず、トレーニングもままならない状態で2月に東京マラソンを走り、続けて3月9日には名古屋国際女子マラソンにも出場。
いきなりトレイルレ-スに出るのは不安でしたが、故障やマラソンのトレーニングのために走りたくても走れなかったトレイルを走りたい、今まで走ったことのない中部地方のトレイルを走ってみたい、という気持ちが勝り、エントリーしたのでした。
当日は、朝からトレイルラン日和の晴天。参加者も去年よりはるかに増えたようで(注:11kmコースも含め昨年の3倍増の計700人)、会場は多くのランナーで賑わっていました。とにかくタフなコースと聞いていたので、走り切れるか不安でしたが、その反面、どんなトレイルなのか、わくわくしながらスタート地点に立ちました。
スタ-トしてからしばらくはフラットな林道で、それから徐々にアップダウンが始まります。とにかく登りが多いので、序盤はペ-スは上げずに進もうと決めていました。
まだ数キロしか走っていないのに、ジェルをこぼして手足とウェアがべとべとに。
そしたら、最初の下りでおもいっきり右足首をひねりました。
久々のトレイルだったせいもあったからでしょうか、電気が走るほど強くひねったので、少しスピ-ドを緩め、この先もまだまだ起こるだろういろいろなハプニングを思いながら、痛みに耐えて走り続けました。
レース中は、苦しさやつらさを感じるのは当然のことです。最後にゴールして、結果おもしろいレ-スだったと思えれば最高だと思います。
要所にいるスタッフの方々の笑顔での応援はいつでも力になります。
コース最高点の宇連(うれ)山山頂まで、きついというより、いくら走っても時間ばかりたって距離は進まないような感じでした。
時には周りを走るランナーの方達と話しながら走ります。私の知らない世界の人たちが多くいて、そこからもさまざまなパワーをもらいます。
宇連山の直登は、思っていたほどきつい登りではありませんでした。周りにいたランナーの方たちのおかげでしょうか。ひねった足首以外は、太もももふくらはぎもまだまだ重くなっていなかったので、少しスピードを上げて進みました。
林道に入って、給水ポイントでゴールまであと9kmと聞いて喜んだものの、まだまだアップダウンは続き、ゴールにはなかなか辿り着けません。
少し走ると、近くを走るランナーの方から「女性が前を走っているからがんばって!」と応援の言葉をいただきました。
前を走っているのはきっと佐藤光子さんだと思いました。
でもその時点で何度も同じ右足首をひねっていて、足首がシューズに当たるのが気になるくらいに腫れ上がっていたので、追いつきたい気持ちと、もう捻挫できないという気持ちで葛藤するなか、今後の自分の走りについて冷静に考えながら走っていました。
それから間もなく、佐藤さんが前を走る姿が小さく見えてきました。
気づかれないようにそっと身を隠しながら、徐々に距離を縮めていきます。
残りあと少しという岩場の下りで、とうとう佐藤さんが振り返り、見つかってしまいました。
当然ながら、佐藤さんはどんどんスピードを上げていきます。
私も捻挫のことなど忘れ、思いきりスパートをかけます。
足場のあまりよくないトレイルを走り抜け、何度もスイッチバックしながらトレイルを下ると、ゴールが近いのか、ゴール地点で中継のアナウンス放送をしているのが聞こえてきました。
さらにスピードをあげたその瞬間……、とどめの一発、5回目の捻挫をしてしまいました。
もう追いつけない……。
最後は足を引きずりながらアスファルト道に入りました。
そこには一緒にレースに参加した友人たちが待っていてくれましたが、追いつけなかった悔しい思いしかありません。
佐藤さんが最高の笑顔でゴールするのを見ながら、私も33秒後にゴールしました。
今まで多くのレースに出ていて、こんな悔しい思いをしたのも、最後にこんな闘争心を抱いて走ったのも初めてでした。
コースもさることながら、さまざまなアクシデントがあった5時間17分。
レースの結果はすごく悔しいものでしたが、ゴール直後に佐藤さんが両手を広げて迎えてくれたことが、すべてを帳消しにするほど嬉しいものでした。

2位で表彰を受けましたが、やっぱり1番がいいなあ
初めて走った中部の山々は変化に富んでいて、子どもの頃に戻ったように楽しかったです。
4年前、山など小学生の時以来行っていない状態でいきなりトレイルレースに出た時に感じた爽快感を、久々に思い出しました。
初めて走るコースだったので場所はわかりませんでしたが、レースの途中、ちょうど疲れが出てきたところで見晴らしのいい場所がありました。あまりに絶景だったので、
「これは今まで走ってきたご褒美だ~!」と、両手を挙げて叫んでしまいました。
競技としてストイックに走り続けることも時にはいいのかもしれませんが、日々の生活から解放されて、好きな山を走りながら自然のなかでしか得られないことに出会えた瞬間に、
「やっぱりトレイルランニングはやめられない」と強く感じます。
いろんなことが起こりますが、次の展開がわからないので、トレイルを走るのはとてもわくわくして、楽しくてしょうがないんです。
ふだんは地元の湘南海岸や神奈川の山々を走ることが多いのですが、神奈川にはないトレイルを堪能できました。
今後はもっともっとさまざまな山を走り回り、今まで走ったことのないレースにもチャレンジしてみようと思っています。

4月6日の「青梅高水山トレイルラン」は捻挫が直らず欠場。でも鏑木毅さんと写真に収まることができました。意外とミーハー?
☆レースのリザルトはこちら(主催者発表)
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