2007年1月 5日 投稿者: アドベンチャースポーツマガジン編集部

世界遺産、オーストラリアのタスマニアを舞台に繰り広げられるアドベンチャーレース「マーク・ウェバー・ピュア・タスマニア・チャレンジ」。F1レーサーのマーク・ウェバーがオーガナイザーを務め、チャリティーイベントとしても名高い本大会の模様をオーストラリア在住のフォト・ジャーナリスト近藤 学氏が写真と文章でお届けする。
「マーク・ウェバー・ピュア・タスマニア・チャレンジ」特別ルポ
第2回
Text & Photo by Kondo Manabu
文・写真☆近藤 学
【近藤 学 Manabu Kondo】
オーストラリア、タスマニア州、ホバート在住。
フリーランス・フォトグラファー。
東京では「週刊ゴング」を中心としたプロレス、格闘技の写真掲載。
オーストラリアではロイター通信、AP通信、The Australian、The Age、The Mercury、The Examinerに写真を掲載する
Manabu.kondo@bigpond.com
【大会オフィシャルサイト】
「マーク・ウェバー・ピュア・タスマニア・チャレンジ」のオフィシャル・サイトは英語版で
http://www.markwebberchallenge.com
【タスマニア】
オーストラリア本土の南方海上に位置する島。島全体の60%以上が国立公園や世界遺産に指定を受けた原生地域となっている。面積は北海道の8割ほど。このコンパクトな島の中に荒々しくも美しい海、山、川が凝縮されている。さらに「一日に四季がある」といわれるほど変わりやすい天候はアドベンチャーレースの舞台として打ってつけのフィールドである
【本連載バックナンバー】
第1回
http://www.adventure-sports-web.com/blog/archives/2007/01/2007.html
Day Two 11月6日(月)ライアウィーニーからマースィーリバーへ
7:45am スタート
レグ#1ウォーク 33km(アダ湖からエルサレムの壁駐車場)
レグ#2マウンテンバイク 7km(エルサレムの壁駐車場からマースィーリバー)
レグ#3ラフティング6km(マースィーリバー)

↑スタート直前、アダ湖畔

↑このレグは長丁場の戦いだ。充分かつ重すぎない食料の選択に神経を使う
スタート地点のアダ湖にマイクロバスで運ばれてきた選手たちの表情は、この日の朝の空のように思いのほか晴れやかだった。昨夜はほとんどのチームが遅い時間にゴールしたので、充分な睡眠時間をとれなかった選手も多いはずだ。
最初から走ってスタートするチームはわずか。ほとんどのチームは歩きでのスタートだ。彼らがこれから戦いを繰り広げるフィールドは世界遺産に指定されているエリア。
約1億6500年前の洪積世の時代からの氷河の浸食によって造形された玄武岩むき出しの風景が目の前に広がる。一般道による侵入は不可能な文明から隔絶されたエリア。それゆえに美しい大自然が永きにわたって守られている。ここを訪れる者は登山のためのフル装備はもちろんのこと、天候や地形を読む豊富な経験が要求される。さもなければ、かなりの危険がともなうのだ。

↑道なき道を進むコースだ。地図のチェックにみな余念がない

↑アダ湖畔を出発。この時点で空がグレーに変わりはじめた。高山植物のじゅうたんを痛めないよう、選手たちは注意をして進む
タスマニアならではの天候が、今日も選手たちを苦しめた。朝の青空はほんの束の間、山中深く入って行くにしたがって雨あしが激しくなり、途中大粒の雹の嵐にも遭う。濡れたウエアーからじわじわと襲ってくる寒さと足下にまつわる泥や植物に、体力だけではなく気力さえも奪われる。
トップを切ってこのコースを抜け出たのが、オールスターズ・チーム(6時間9分22秒)だった。
「僕はね、6分ちょっとのコースでバトルを繰り広げることに慣れちゃってるから、このだだっ広いフィールドを7時間を切って、しかもチームメイトが全員無傷で抜け出せたことが、ただただ嬉しいのさ」
オーストラリア、伝説の漕艇選手マイク・マッケイはそう言った。
彼が喜ぶ理由はほかにもある。マーク・ウェバー率いるピュア・タスマニア・チームの中には、オリンピック漕艇競技で火花を散らせたライバルのジェームス・クラックネル(イギリス)がいるからだ。
「ジェームスに最後に会ったのはアテネだけどね。また勝負できる機会があるといいなって思ってたんだ。こんな場所で、しかもこんな形で勝負ができるなんて、嬉しいよ」

↑33kmレグの終盤、最初に姿を見せた選手は、オールスターズ・チームのマイク・マッケイだった

↑ジェームス・クラックネルが淡々と後を追う。マイク・マッケイ、ジェームス・クラックネルが各々のチームの先頭を歩いていたのは、この日を象徴する光景だった
この後、短いマウンテンバイクのコースを経て、ホワイト・ウォーターでのラフティングが行われるマースィーリバーへと選手たちは向かう。
33kmのコースで火花を散らせたマイクとジェームスは水の上では敵なしの血統書つきだが、なんと、もっとも早くこのラフティングをクリアしたのは、女性だけで結成されたアイアンウーマン・モデル、グレース・マックルアーが率いるキャドベリー・チームだった。
「あのラフティング! もう最高にエキサイティングだったわ。あの岩がつきでたホワイト・ウォーターの難所を私たち全員力合わせて抜け出したのよ。ジェームスやマイクを打ち負かしただなんて信じられないわ。ゴー! ガールズって感じよね!」
とはいえ、この日、最終的に笑ったのはオールスターズ・チームのマイクだった。6時間57分22秒で2位のピュア・タスマニア・チームに25分の差をつけた。
「いやぁ、もう最高の日だったよ。あのジェームスとまた勝負できて、おまけにやっつけたんだから」
ジェームスもさわやかにこの日を終えたようだ。
「実際ね、彼と漕艇競技でレースしたのは、以前一回だけなんだ。その時は我々イギリス・チームの勝ちだったんだけど、マイクはそのことに触れていなかった?」

↑ジェームス・クラックネルのピュア・タスマニア・チーム。遅れを取り返そうと、必死にホワイト・ウォーターに挑む

↑しかし、ラフティングを最も早く終えたのは女性だけのキャドベリー・チームだった
第3回へと続く……。お楽しみに!
It will continue next time.