2006年11月 8日 投稿者: アドベンチャースポーツマガジン編集部

『アドベンチャースポーツマガジン』2006年号130~131ページで紹介したNIKE ACG「オリザバジャケット」。アドベンチャーレースの世界トップレベルで活躍するイアン・アダムソンも愛用する本ギアを読者代表の鈴木孝司さんにレポートしてもらった。
1989年、フランス人ジャーナリストのジェラール・フュージー氏が考案開催した「レイド・ゴロワーズ」以来、現在多数のアドベンチャーレースが世界中で開催されるようになった。2006年北米ユタ州で開催された「プライマル・クエスト」は、距離・レベル・競技難易度などなどから、現状、世界最高峰の大会とされている。日本代表チーム「イーストウインド」が活躍したことでも記憶されている方も多いだろう。本コーナーで紹介するのは、その「プライマル・クエスト」で準優勝した「TEAM NIKE/BALANCE BAR」(前回大会優勝)が使用した「NIKE ACG」アウターのフラッグシップモデルとも言うべき「オリザバジャケット」のテストレポート。キャプテンを務めるイアン・アダムソンをはじめ「TEAM NIKE/BALANCE BAR」のメンバーが愛用する「オリザバジャケット」を、アドスポ読者を代表して鈴木孝司さんにレポートしてもらう。
***「オリザバジャケット」レポート***
Text & Photo by Suzuki Takashi
世界のトップレーサーが使用するウエアを、自分も試してみたい。そんな思いが通じたのか、幸運にもNIKE ACG オリザバジャケットをテストするチャンスを得ることができた。
8月下旬、このジャケットとの出会いは、驚きから始まった。妻から、「ジャケットが届いたみたいだよ」と、ジャケットが梱包された包みを渡された時、想像よりも重量が軽すぎて、腕が抜けた(例えば、「ジュースをあげるよ」と、いかにも重そうに缶ジュースを渡されたが、じつは中身が空っぽで、必要以上に力の入っていた腕が、つっかえ棒を外されたようになる感覚。わかるかな?)。何だこの軽さは! 早速、重さを量ってみると、オリザバジャケットが355g、以前から僕が使用していたゴアテックスのレインウエアが480g、つまり125gも軽い。予想外の重量差に、心底驚いた。
アドベンチャーレースにおいて、軽さは最高のアドバンテージである。例え100gの重量差でも、その重さを数日間・数百kmにわたって背負い続けることを考えると、その負担の差は非常に大きい。そのためトップレーサーは、1g単位で贅肉を削ぎ落とし、装備の軽量化を図っていると聞く。それを考えると、この125gの差は圧倒的である。
ただし、軽いだけではアウターウエアとして完璧とは言えない。過酷な自然環境下で使用するアウターウエアは、体を守る最後の砦としての役割があるからだ。
2004年の「サザン・トラバース」で、僕たちのチームは稜線に出る前の猛烈な藪漕ぎで、不注意にも体を濡らしてしまった。そして真夜中、森林限界を越えた僕たちに襲いかかる台風のような暴風と雨、時間が経過するにしたがって雨から雹そして雪。最悪の気象条件。地形的にも、鋭く尖った岩の稜線や、どこまで落ち込んでいるのか見渡すことができない雪渓のトラバース等、一歩踏み外したら……と言うような、最大限の緊張感を必要とする場面が続く。濡れた体からは体温が奪われ、いくら動いても体は凍えたまま。僕の人生の中で、最も極限の状態だった。
このように、気象条件が苛酷になればなるほど、体を濡らすということは絶対に避けなければならない。よって僕が望むアウターウエアとは、外部からの風雨を遮断し内部からの湿度を効果的に逃がす防水透湿性に優れ、かつ、どんな環境にも耐えられる耐久性を兼ね備えたものである。
10月に入ってから、特に透湿性を確認するべく、早朝にオリザバジャケットを着用し、高尾山近辺のトレイルを1時間から3~4時間程度走ることを繰り返した。今年は例年の10月に比べて暖かい日が多いだろうか。雨の日もあったが、それほど寒くは無い。透湿性をテストするには、逆に好条件かもしれない。
走ると、当然発汗はするが、オリザバジャケットの内部は想像以上に快適だった。インナーに着ている速乾系のシャツも、ほとんどべたついていない。単なるウィンドブレーカーを着用して、汗でグチャグチャになってしまうのとは、明らかに違う。これは、透湿性が優れているという証明にほかならない。また、ジャケット内部の素材の肌ざわりの良さが、快適感をさらに高めているのかもしれない。いずれにしても、世界のトップレーサーが使用するウエアなので、これは当然といえば当然の結果であるが、自分で着用してみて本当に納得することができた。これなら、どんな気象条件であろうと、何の不安も感じることなくレースに集中できるだろう。
その他、オリザバジャケットは、単なるアウターウエアでなく、レース用のアウターウエアとして開発されているため、細かい部分にもさまざまな配慮がなされており、自分が感じられたことについて列挙してみる。
素材感であるが、ゴワゴワとかさばるのではなく、しなやかで体の動きになじむような感覚である。さらに、一般的なレインウエアだと、腕や胴回りや必要以上にゆったりしており、ランニング動作における腕振りを阻害されるような感じがしていたが、オリザバジャケットは全体的にスリムにカットされており、とても動きやすくなっている。ランニング専用のウィンドブレーカーのようなシルエットで、着ながら走っていて、ストレスを感じることがほとんどない。
両脇の下に大きなファスナーがあり、状況に応じてベンチレーションをすることが可能である。これにより、ウエア内部の温度や湿度を下げられるので、内部からの濡れを軽減することができる。
フードは、サイズが合わないと(特に大きすぎるフードの場合)、視野を狭められたりして、思わぬ危険を招く場合があるが、オリザバジャケットは絶妙な位置にドローコードが配置されており、自分の頭に最適なサイズに調整をすることができる。また、フードにもベンチレーションが備え付けられている。
以上、オリザバジャケットについて、実際に着用して感じたままを文章にしたが、まだまだジャケットの持つ性能の一部を感じただけにすぎない。そんな中でも、世界のトップレーサーが使用している理由を充分感じることができた。オリザバジャケットが、このオフのトレーニング、そして来シーズンのレースにおける、僕のメイン・アウターウエアになることは間違いない。
季節は冬に向かい、気象条件が厳しくなってくるが、そんな時こそ、このオリザバジャケットと共にフィールドへ行こう!
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