2006年6月15日 投稿者: アドベンチャースポーツマガジン編集部

1日完結型の本格的なアドベンチャーレース、「グアム・エクストリーム・アドベンチャーレース」。レース内容も濃く、海外レース初挑戦にオススメの本大会。フォトジャーナリスト山田周生氏の好意により、同氏写真とともに中井康博選手のレポートをお届けしよう。
「グアム・エクストリーム・アドベンチャーレース(GEAR6)」レポート
Photo☆Yamada Shusei
Text☆Nakai Yasuhiro

暑い、本当に暑い、でもこの暑さがたまらなく好きなんだ……。
ホテルを出ると、クラーの冷気に守られていた体から一気に汗が出始める、体の露出している箇所にジリジリと太陽からの歓迎の挨拶が降ってくる、ようこそグアムに……。
今回6回目となった「グアム・エクストリーム・アドベンチャーレース(GEAR)6」に出場のため、5月まだ涼しい日本からこのグアムにやって来たのである。
「GEAR6」はグアムのジャングルを舞台とし、観光では決して味わえない、まだ手付かずの自然を満喫するスリリングでスピーディーなレースである。今回で6回目となるが、私は3回目のエントリーである。今回はいったいどんなグアムを堪能させてくれるのかが楽しみである。
「GEAR」は個人のスポーツではない。世界的に見て、アドベンチャーレースは、1チーム4人のメンバーから構成されている。男女混合チームを基本とし、男子チーム、女子チームといったカテゴリーもある。
今回の我々のチーム「ファンランドOGK」は、姫こと松本晴美嬢、中野善人、河村正勝、そして私、中井康博のメンバー構成で、プロクラス40マイルのステージレースにエントリーしている。
以下、まずはスケジュールを紹介しよう。
【スケジュール】
5月11日
関西国際空港に各自集合。22時00分、定刻に離陸
5月12日
現地時間2時30分、グアムに到着。迎えのバスで、ホテルに4時30分到着。9時からメンバーで朝食。その後レースに備えて装備品、MTBなどの整備。16時からタモンにあるアウトリガーホテルで装備品のチェック。18時からブリーフィング 現地スタッフとミーテイング
5月13日
3時起床。食事、レース機材の準備。4時、現地スタッフが車で迎えにくる。5時、レース会場到着。機材の最終点検、レースマップの配布。6時10分レーススタート(正規は6時の予定)。18時00分最終CP(チェックポイント)閉鎖。23時ごろホテルに帰る。
5月14日
終日フリー。16時からビーチでパーティ
5月15日
6時フライト。8時30分関西国際空港到着、解散。
レース前日の午後、指定のホテルにてレース用の機材のチェック、いわば車検である。今回の装備では、MTB、パック、水分を補給する水筒類、ライト、方位磁石、海に備えてのライフジャケット、そして緊急用のエマージェンシーキットとして、包帯、ガーゼ、浄水器、消毒薬などである。
引き続き明日のレースの簡単な説明……この時点ではまったく明日のコースを何も教えてくれない。すべては明日のスタート10分前に配られる地図とインフォーションで明らかになる。
レース当日3時に起きた我々は簡単な食事をとり、レース機材の最終の確認に入る。追い立てるように現地スタッフの迎えの車がやって来た。あわだだしく機材を積み込むと、まだ暗いグアムの街を抜け北えと車は走る。40分も走っただろうか、イナラハン・チャモロ文化村に着いた。すでにスタッフ、いろいろなウエアーの選手が集まっている。どうやら今回のGEARのスタート地点はここのようだ。

5時を少し過ぎたあたりから次第に当たりが明るくなると、太陽の呼びかけにグアムの自然が目を覚ましだしてくる。とそのころオーガナイザーであるジェームスの声でみなが暗いランタンの前に集まりだす。わけのわからない英語でまくし立てているが、レースの説明のようである。来るたびいつも、日本に帰ったら必ず英語の勉強をすると誓うのだが、また今回も×××である。
定刻になってもまだスタートの合図はない。ジェームズの呼ぶ声で、選手たちは集まりだすが、どうやら記念写真の撮影のようだ。定刻を10分過ぎたときにジェームスの合図で長いグアムの1日が始った。最初は500mほど離れたところにある聖ヨセフ教会を走って回り、そのままMTBで337mのササラグアン山の頂上にある白い電波塔をめざす。舗装された道からジープロードに変わり、さらに道が細く険しくなってくると、前日に雨が降ったため、赤い土が粘土のようになり思うように進めない。そんな時、ただ前方の白い電波塔だけを見ていた目先をふと背後に向けると、緩やかな濃いグリーンの草原の先に今度は濃いブルーの海が遥かかなたまで続いている。これだ、この景色が見たかったんだ。ここに今いる10人ほどの目にしかこの景色は見えていない。一緒に走るメンバーに俺はこれをおまえたちに見せてやりたかったんだ……。

バイクを押したり担いだりしながら、なんとか白い電波塔に着いた。スタッフにビブナンバーを告げると、次のステージの準備に取りかかる。次のステージは海岸線まで走って降りるトレッキングステージ。すでに、ここにいるのは5チーム。前年の1位2位もこの中に含まれている。白い電波塔から海岸まで下りるコースはいくつもありそうだが、我々のチームはできるだけジャングル地帯を避け、尾根沿いに下りていくコースを選択。険しい尾根を下っていくとバナナ畑に入った。バナナ畑を抜けると民家の裏山からジプロードへと続く道を走り、海岸線の舗装路を目的地に向けて走り出す。すれ違う車から「1マイル、1マイル!」の声援が聞こえる。
海沿いの目的地に着くと、スタッフから3位だと教えられる。目の前の海を見ると、2艇のカヌーがココス島に向かっていく。我々もここでバカンスを楽しんでいるわけには行かない。冷たいコークを流し込み、パンや果物を補給しカヌーに乗り込み、沖に浮かぶココス島をめざす。まず2名がカヌーに乗り込み、もう2名がフィンを付けキックを打ちながらカヌーの後ろにつかまって進む。今までのアドベンチャーレースでこんなシチュエーションは初めてだ。
空も、海も本当に広い。青い海がグリーンから次々に色を変えていくのに、空だけは進んでも進んでも青いままである、ココス島に着くと桟橋の上にいったん上がる。桟橋の鉄塔にコードが記入してあるので覚えて帰ってくる。これがこのステージのシークレットポイント。「27/05/2007?」。そうか来年のGEARの日程だ……。
帰りはメンバーを入れ換え、カヌーがスタートした地点をめざす。少し風が出てきたのか、カヌーは沖に沖にと流される。目の前の海には、バナナボート、パラセイリングに興じている観光客の姿が見える。ここはグアムでも有数のダイビングスポットらしいが、まさかここで水遊びしている輩は、俺たちがこんなに面白いことをしているとは判らないはずだ。
かなりの時間を費やしたものの、カヌーのスタート地点に帰ってきた。思いのほか時間がかかってしまい、現在4位5位と一緒である。次のステージはあの白い電波塔まで走って帰らなくてはならない。ここで遅れを取り戻そうと、休息もほどほどに出発する。一度は下ってきたコースであるが帰りは最短距離のコースを選択、ここで勝負に出た。焼畑のような草原を抜け、バナナ畑から、ススキのように草が生い茂るコースに脚を踏み入れる。背丈が2m以上あるススキのような植物に行く手をさえぎられ思うように進めない。ここでも必要以上に時間と体力を使っている。ススキの生い茂る尾根を抜けると、ものすごい断崖絶壁が目の前に見えてきた。電波塔はこの上である。メンバーはこの断崖絶壁の足場をひとつひとつ確認しながら登りきった。すると前方には白い電波塔が見える。
ここからは一気にMTBで海岸線まで降るコース。しかし18時までに到着しないと次なるステージには進めない。メンバーは疲れた体に水分とエネルギーを補給。MTBにまたがり、赤い土の道を下りだす。朝のステージでは、赤い粘土のような路面が、雲ひとつないグアムの太陽のために赤いパウダーの中を走っているようだ。おまけに疲れきった体は、バイクのコントロールをできなくなってきている。知らず知らずのうちにグアムの自然が俺たちの体力を奪っていったのだ。今はただ下るだけなのに、筋肉が反乱を起こす。ハンドルを握る手にも力が入らない。カラになったハイドレーションパックがやたらと背中や腰にのしかかる。最初のステージではしゃべる余裕があったのに、今はそれさえもメンバーにはない。何度も何度も止まり地図を確認しながら進むが、コースが判らない。エンプティーランプの点いた体からは、体力だけではなく、思考能力さえも奪っている。それでもポイントを探しクリアしていかなくては次へと進めない。メンバーの頭の中はきっと速く進みたいという思いと、もうやめたいという思いが交錯しているはずだ。
MTBで走るコースが次第に広くなり、そして民家も見え出したころ、視界が広がってきた。目の前には海が見えている。あと少しで最後のチェックポイント。ここを18時までにクリアすれば、海岸線を走るステージだけが待っている。早く進まないと、頼むから脚よ腕よガンバってくれ……。舗装路の先には手を振るスタッフの姿が見える。やっと見えた、とその時、時計の針は18時を少し回っていた。
ルール上、最後のビーチランに出ることができず、レースは終了してしまった。結局上位3チームのみが最終ステージに進むことが許された。過去2回の参加も最終ステージに進めないまま終わり、また今回はわずか7分のために、悔しい想いだけが残るレースとなってしまった。
その後、現地スタッフの車でゴールに移動。次々にゴールしてくる3チームを横目に4度目のチャレンジをメンバーとともに誓ったのであった。
【今回のレース全体の反省事項】
●日本での準備、現地での準備に時間と労力を使い、コンデションを整えられなかった
●もう少し時間的にゆとりを持って現地に入りたかった
●涼しい日本から来たためか、グアムの暑さ湿度に体が対応できなかった
●海でのステージが多いため、カヌー、フインスイム、スイムのさらなるトレーニングが必要であった
●レース中の補給(水分、食事)のタイミングを考える
おおむね反省点としては以上であるが、過去何度かGEARには参加しているものの、現地チームの有利さは変わらない。が、事前に地図を購入し準備するなどで対応して、次の「GEAR7」ではフル完走をめざしたい。

From ASM編集部
中井康博さん、臨場感あふれるレポートありがとうございました。そして、「ファンランドOGK」のみなさん、お疲れ様でした! 次回「GEAR7」では、ぜひフル完走はもちろん、日本チーム初優勝めざして頑張ってください!
&
Special Thanks!
Mr.Shusei Yamada , Mr.James Oelke
【大会詳細・問い合わせ】
「グアム・エクストリーム・アドベンチャーレース(GEAR)」の大会情報は、山田周生氏が管理するWEBサイト「eX-station」に詳しい。次回大会エントリーに関する情報も、時期が来れば、こちらから入手可能。ぜひ見てみよう。
「eX-station」
http://www.ex-station.com/
「GEAR」
http://www.ex-station.com/gear/index.html
http://www.guamextremeadventurerace.com/
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