2005年9月28日 投稿者: アドベンチャースポーツマガジン編集部

日本初かつ唯一のプロパドラー集団であり日本ラフティングレース界の王者が、世界選手権に挑む。場所はエクアドル、舞台はグレード5の激流だ。イタリアで開催されたヨーロッパ大会では、強豪ひしめく中みごと優勝したチーム「テイケイ」。気合い充分の日本代表に、声援を!
ラフトとは直訳すると筏という意味だが、いわゆるラフティングとは、高剛性を誇るゴムボートで激流を下るスポーツである。一般的に、日本ではコマーシャル・ラフティングが認知されており、毎年何万人もの人々がレジャースポーツとして楽しんでいる。このラフティングには、川を安全に航行するために船頭役となるリバーガイドが欠かせない。そんなリバーガイドの世界で活躍する面々の中から、世界を目指すプロラフターが集結した集団が日本代表チーム「テイケイ」である。監督は、ラフティングレースの草分け的存在、浅野重人氏。数々の国際メジャーレースに出場してきた浅野氏が結成した本チームは、国内では敵なし、出場する大会では常にダントツの優勝という成績を残している。彼らの目標はあくまでも世界。そのため、トレーニング合宿を重ね、チームの意識をひとつにまとめあげてきた。こうした成果から、今年7月のヨーロッパ大会ではみごとに優勝。エクアドル大会へむけて確かな手応えをつかんだ。世界レベルに到達した今後の日本チームの活躍に注目である。ぜひみなさんエールを送ろう!
【インタビュー:監督 浅野重人氏】
Profile 1974年生まれ。ヨハネスブルグ出身。世界15カ国40以上の激流を下る。リバーガイド及びRescue3(水難救助)インストラクターとして活動する傍ら、ラフティング日本代表チームRapidMastersを結成。その後、世界の激流に挑戦し、現在はテイケイ株式会社ラフティング競技部の監督に就任。
Q.ラフィティングのようなチーム制の競技では、メンバーの意識をひとつにすることが重要かと思われますが、トレーニングをするうえで、テイケイ流の考え方、秘けつなどがありましたら教えてください。
A.とにかくできる限りチームでいる時間をつくることです。ストレスがたまることもあるし、ケンカもするでしょうが、チームのイメージを統一するためにはこれがベストだと思います。あとは何事も段取り8分で、練習や試合の前にミーティングを行い、メンバー全員が、いつ、何のために、どんな動きで、といったイメージを細部にいたるまで共有することができたら必ず成功します。実際、失敗したときはいつも選手のイメージが食い違っていたときですからね。

Q.アドベンチャーレーサーにとって、パドルスポーツ系の練習は特に難しいようです。ラフティングやカヌー&カヤックなど、急流域でのトレーニングに関して、アドバイスがあればお願いします。
A.川下りは、体力よりも知力だと思います。初めてであれば、まずは川を知っている人からの講習や、川の基礎知識などを聞くことが大事だと思います。実際に川でトレーニングする場合はただ川を単に下るのではなくて、流れがあっても一箇所に留まれるところを見つけて反復練習するほうが理解が早いと思います。いっきに下ってしまうと忘れてしまうんですね。川の流れは知れば知るほど面白くなってきます。自然に川くだりが好きになるし、アドベンチャーレースでも体力をセーブして楽に下れると思いますよ。
Q.国内では抜群の強さ、ヨーロッパ大会ではダウンリバー部門優勝という輝かしい成績を残されました。世界大会に向けて手応え充分かと思われますが、大会直前の段階での課題はありますか?
A.ヨーロッパ遠征において相手の特徴、自分たちの特徴を今まで以上に細かく分析することができ、それに対する準備にも取り組んできました。 ただ、選手のケガなど不慮の事故もあり、計算外の出来事がありました。しかし、その中でやれるだけのことはやっってきたと思います。ケガにより調整が予定より遅れ気味になりましたが、ヨーロッパ遠征の勝利によってチームの雰囲気は良くなりました。

Q.世界有数の激流を前にして恐怖感というのはあるのでしょうか?
A.大きな川や瀬を下るときには必ず興奮するし、ドキドキします。でもその感覚がたまらなくて、グレードの高い川を下るんです。ラフターならば、より難関な川に挑戦したいと思うのが当然ですね(笑)。
Q.世界大会の川のレベル(グレード)は、どれほどですか?
A.昨年プレ大会に参加しましたが水量がとても少なく、ワールドグレード3+ほどのレベルでした。ちなみに日本有数の激流である利根川のレベルは増水時グレード4です。それと比較して今回どのくらい水量が多くなるか予想できませんが、多くなればグレード4+から5ほどにはなると思います。基本的にそれほどキャパの大きな川ではないのですが、増水すれば流れの速い、危険な川になるでしょう。
*ASM注
グレード:クラスや級という表現も使う川の難易度を表す等級。パドリング可能な国内の川では、増水時の利根川水上や吉野川小歩危などが一般的にはグレード4と言われる。水量や流速、障害物、水温など、パドラーに影響を及ぼすあらゆる要素を加味したうえで、川のトータルの難易度が表される。川のエリア・グレードとともに、パートパートの瀬に対してもグレード表現がされる。
Q.チームを結成し、世界をめざすなかで、いちばんの苦労は何でしたか?
A.チーム統制ですね。初年度のチームはさまざまな競技やバックボーンを持った選手で構成されましたが、それをリーダーとしてまとめることが出来なかった。今回のチームは全員ラフティング・ガイド出身で、全員のラフティングに対しての根本的な考えが繋がっています。とにかくチームワークを主眼にして編成しました。ラフティング云々だけではなくチームを統率することは、最もチャレンジしがいのある仕事だと思います。

Q.最後に、世界一を目指して、チームまたは監督の意気込みなどをお聞かせください。
A.この2年間で我々は相手を知り、自分たちを知り、勝つための対策に励んできました。最終的に感じていることは、パワーなどの個人能力ではなく、チームワークで勝負すれば、世界のトップに近づくことができる、ということです。個人プレーではなく、メンバー全員が同じイメージでボートを動かす。そのことを常に忘れず、雨の日も雪の日も漕ぎこんできました。疲労がたまり、口数が少なくなり、動けないこともありました。そのつらい日々が今は自信となっています。平常心で挑み、普段どおりの実力を発揮できれば表彰台に立てる、と思っています。
どうか地球の裏側で戦っている我々に皆さんのパワーを送ってください!! 表彰台のてっぺんに日の丸を掲げる覚悟で力の限り戦ってきます!

艇を降りれば、この笑顔。左上から、高畑将之氏、富田寛之氏、小林靖央氏、鈴木達也氏。左下から、池田拓也氏、浅野重人氏、柴田大吾氏。
爽やかな日本男児にエールを!
【大会内容】[チーム戦績]
大会名:WRC(ワールドラフティングチャンピオンシップ)2005・イン・エクアドル
日程:平成17年10月12日~17日
場所:エクアドル共和国・キホス川(グレード5)
主催:世界ラフティング協会(IRF)、エクアドルラフティング協会(rafting Ecuador)
参加チーム:世界各国から26カ国、38チーム(うち男子26チーム、女子12チーム)が参加予定
内容: 2年に一度世界屈指の激流で開催される、レース・ラフティングの世界大会。以下の3つの種目を行い、全ての種目の総合ポイントを競う
★ダウンリバー:約20キロのグレード5(人間が下れる限界の激流)を下る速さを競う長距離レース
★スプリント:最もエキサイティング!約300メートルをトーナメント方式で2艇づつで速さを競う
★スラローム:設置されたゲートを正確に通過するタイムを競う。流の読み、操船技術が問われる競技
【チームテイケイのホームページ】
激流下りを知るうえで、有益な情報あり!!
http://teikei.race-rafting.jp/